歌をしるべに ~短歌で綴る迷い道~

迷い道に入り込み右往左往する軌跡とか、痛みとか、時々は宝物も。

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未だ完治せず

 【オムレツにナイフを入れたかのように閉じかけていた傷が開いた】

切り込みを入れるとトロっと卵が流れる、あれ。
かさぶたの中はまだまだ、生傷のままみたい。

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ざくざくと

【しらゆきの蓋を開ければ三月のゲレンデがありスプーンで削る】

かき氷が美味しい季節になってきたので手軽にカップ入りのものを。
いつか行った雨模様の春スキーを思い出すテクスチャーである。
 

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坂を北に向かってのぼる

【「山は北」「海は南」の神戸より出てから吾は方向音痴】 

神戸の一部地域では北を「山側」南を「海側」と呼ぶ。
そんな土地を離れて長いのにいまだに「北には山がある」、そんな感覚。
(NHK短歌 8月号 題「地名」 黒瀬珂瀾氏 選 佳作)

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反転

【眼球に逆さに映る風景を無理にねじ曲げ悟ったつもり】

そもそも網膜には逆さまの像が映っている。



風景以外の色々も頭で理解するために事実を捻じ曲げてしまっているのではないか、などと。

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わっはっは

【とりあえず笑っておけと笑うとき笑い袋の笑いみたいだ】

もともと笑い上戸な方ではあるが、ごくたまに答えに窮してこの手を使うこともある。
我ながらわざとらしくて気持ち悪い。 

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梅雨は明けたけど

【梅雨明けを告げる蝉らはひそやかでまだ夏なんて来ない気がする】

例年なら梅雨明けと同時に蝉しぐれがやかましいぐらいになる。
が、今年はあまりに静かすぎて、たしかに夏なのに夏じゃないみたいだ。

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擬態

【蓮池の蕾のふりをするために一本足で佇む小鷺】 

白い蓮の花が咲く池に蕾がちらほら。
と思いきや、コサギが混じっていた。騙された。

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全てを許してしまう

【猫にだけ許されている美があって我が儘さえもしなやかである】

気ままで言うことを聞かないから猫は苦手、という人は多い。
だが猫に魅了された人間は、その身勝手に振り回されることこそが無上の喜びだったりする。
 
(#ネコ短歌コンテスト)

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生きる意味

【生きてゆく意味を知らずに生きている生み落とされた宿命として】

生きることの意味や目的、意義、そんなものは私にはどうでもいいこと。
この世に生を受けたというたしかな事実があって生まれた以上生きてゆくしかない、それだけだ。

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心を乱す

【母を恋う仔猫の細き声がして憂いの満ちる初夏(はつなつ)の夜】 

初夏の頃になるとどこからともなく心細げな鳴き声が聞こえてくる。
母猫とはぐれたのか、遺棄されてしまったのか、いずれにしても猫好きには辛い季節。
(#ネコ短歌コンテスト)


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夏だ海だ

【海岸に夏が来るから工作のキットみたいな小屋を並べる】

先々週、海の家のプレハブがてきぱきと組み立てられていた。
そしてついに海開き、夏本番である。

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隠せない気持ち

【グルグルとうっかり喉が鳴っちゃって好きがばれるね猫だったなら】

甘えたい時にはこちらが撫でる前から喉を鳴らし始める。
私がもし猫だったなら、思考ダダ漏れで何かと差支えがありそうな気がする。
(#ネコ短歌コンテスト) 

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儚くも真っすぐな

【消えてゆく直線として生きること許されないで飛行機雲は】

子供のころから飛行機雲を見るのが好きだった。
空を切り裂くように細い雲はやがて、ぼんわりと膨らみ空に溶けてしまう。

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ジャンクな味

【一汁と二菜な日々に隠されたチキンラーメンみたいな時間】

何かに似てると思っていたんだけれど、そうだ、あれだ。
普段はあまり口にしない濃い味、三分で出来てちょっと罪悪感があって。

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もしくはカフェ・オ・レ

【白か黒オセロのようなわたくしをグレーに染めてくれたのは君 】

若い頃は本当に融通の利かない考え方をしていた。
グレーでいいんだ、と教えてくれた人との出会いには本当に感謝している。

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雨を喜ぶ

【不快指数一〇〇パーセントの梅雨空をけろりと笑う雨蛙たち】

近くの田んぼがついに宅地造成に入り、今年から蛙の大合唱が聴けなくなった。
今、自宅近辺にいる蛙たちが姿を消すのも時間の問題と思うと寂しくて仕方がない。

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花に託す

【何ひとつ約束なんてないけれど花は咲くから二人もきっと】

約束なんてあてにならないと知っているし、それがなくても続くものこそ。
つい求めたくなるのが本音ではあるけれど。

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天の川は見えないけれど

【七夕の空を縫いゆく飛行機は今宵誰かの鵲の橋】 

梅雨の晴れ間、空を飛行機がゆく。
七夕だから、と逢瀬の約束をした誰かが乗っているのかもしれない。

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7月6日は

【記念日にひとり見上げる天の川かささぎ橋はまだ架からない】

今夜は何とかもちこたえそうな空模様だが、明日はさて。
今日はサラダ記念日にちなんだ記念日の日。


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逆撫で

【刈り上げたばかりの項(うなじ)撫で上げて犬みたいだと呟く儀式】

短くカットしたばかりの じょりじょりした手触りが好き。
そして洗いたてのシャンプーの香りと。

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光のプロムナード

【手を取って進む二人のこれからが光に満ちておりますように】

夜の街を行く二人。
蒸し暑い夜だったけど、たぶん二人にはそんなこと関係ないね。

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都市伝説

【本棚に潜む数多の言霊は青木まりこを召喚したり】

書店で便意を催すというあれを「青木まりこ現象」と呼び、色々と検証が行われている。
私自身は経験がないのだが、たしかに身近にもこういう人はいる。

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色を重ねた分だけ

 【延々と描き続けたキャンバスを裂いて流れた血はそのままに】

諦めたものはもう憧れでさえない。
時間が血も涙も止めてくれると願って。

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陽の光を恋う

【太陽は目を閉じてなお眩しくて光合成はできない私】

陽の光を浴びない日が続くとたちまち弱るので、私は光合成をしているのじゃないかと思う。
だけど植物たちを真似して陽を見上げると、やはりそれは幻想であると悟る。

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風に染まる

【花々を育んでゆく薫風よちょっぴり彩(いろ)を分けてください】 

初夏の風のもとでは、様々な花が咲き乱れる。
その風に触れることで生きてゆくための活力を得られたら、と願う。
(地方紙入選作品)

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夢から醒めて

【唇に余韻を残し目覚めればそっと虚空に抱(いだ)かれていた】

たしかに温度まで残っている、そんな感覚。
だけど手を伸ばしても掴むのは空(くう)だけ。
 

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黒を忘れて

【幼子のように戯れ笑うのもたまにはいいねオレンジ色で】

それぞれに課題を抱えているからいつも話題は黒いのだけれど。
ゲームに興じたりしながらの時間はあの頃のままだ。

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珍客

【岩風呂に山鳩一羽舞い降りてほうほろほろと湯加減を訊く】

露天風呂ならではの楽しいサプライズ。
誰もいなくなったら鳩も湯浴みをするのだろうか。 

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ただの飾り

【子に与う機会を失いつつあって六つの乳房湯に浮くばかり】

似た境遇の三人だから。
裸の付き合いも学生の頃から変わらない。

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傷を語り合う

【闘いの跡を互いに持ち寄っていで湯に散らす黒い花びら】

気の置けない友らといで湯に浸かる。
この年になると身にも心にもそれなりに傷があって。 

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