歌をしるべに ~短歌で綴る迷い道~

迷い道に入り込み右往左往する軌跡とか、痛みとか、時々は宝物も。

ご訪問ありがとうございます! 自己紹介・ブログの説明は こちら

だらしない

【だぼだぼのパジャマがわりのTシャツをひとりで着てもただの怠慢】

こういう嗜好の方もいらっしゃるとは思うが。
いずれにしても私の場合はただみっともないだけだ。
(#Tシャツ短歌コンテスト)



スポンサーサイト

このページのトップへ

台無し

【ハンガーに着せたTシャツ、キマってる 私が着たら野暮ったいやつ】

とてもお気に入りのTシャツを買ったのだけど。
なぜこうもイメージと違うのだろう。
(#Tシャツ短歌コンテスト)

※かなり前にTwitter上で開催されたコンテスト。作っていたことをすっかり忘れて今頃のご紹介となりました。




このページのトップへ

昔々の

【放課後に何か言いたげな顔した君に気づかぬふりして逃げた】

あの時、逃げずにきちんと向き合っていたら。
もしかしたらその後の人生も変わっていたのかもしれない。
 

このページのトップへ

灰色の空間

【足元に蒼い吐息が降り積もる時の止まった救急外来】

救急外来という場所は重苦しい空気に満ちている。
俯いて患者を待つ家族、その目に映る世界からは彩が消え失せている。

(NHK短歌 10月号 題「外」 大松達知氏 選 佳作) 

このページのトップへ

時空を超えて

【歳月を飛び越えて来た泥が目に入ったような一本のTEL】

電話にもデジャヴというのがあることを知った。
懐かしいと言えば懐かしいし、だけど厄介なことに変わりはないし。

このページのトップへ

気分はすっかり

【まだ秋になりたがらない陽の下でボルドー色を纏って歩く】

日中の温度にはまだ少し夏の名残。
だけど着るものぐらいは秋色を選んで。

このページのトップへ

熱を残して

【柔らかな皮膚に咲かせた紅い花まだ熱いのに色褪せてゆく】

痣というのは時間が経つにつれて醜い色になってゆく。
枯れてゆく花のように。

IMG_7149.jpg 

(Instagramやってます→
https://www.instagram.com/shinka_mt/?hl=ja

このページのトップへ

尽き果てそうな

【もう一度わたしの泉が溢れだす言葉がほしい貴方が遠い】

このまま何もかもが涸れてしまいそうな漠然とした不安。
言葉とか感情とか抑圧された本能だとか。

IMG_7144.jpg 

(Instagramやってます→https://www.instagram.com/shinka_mt/?hl=ja

このページのトップへ

いつか迎えるその日に

【日没を迎えたならば来し方のどの瞬間が浮かぶのだろう】

最後の最後に脳裏に甦るのは、誰と過ごしたどの時間だろうか。
そんなことを考えると少し楽しみでさえある。

IMG_7143.jpg 

(Instagramやってます→
https://www.instagram.com/shinka_mt/?hl=ja

このページのトップへ

嵐の前の

【台風の進路予想の円がまだ大きいうちに買い溜めるべし】

未だ実感はないけれど確実にやってくるであろう嵐。
やるなら今のうち。
(ネット歌会 うたの日 歌題「ただごと歌」)

このページのトップへ

再び奥へ

【閉じ込めた春に逢うのを躊躇してマーマレードをまたしまい込む】 

春に作ったマーマレードが冷蔵庫の奥から出て来た。
最後のひと瓶、やっぱり勿体なくて。


このページのトップへ

三本の仲

【ぴっちりとくるまれている茄子たちの仲が円満でありますよう】

三本のナスがラップで見事なまでにぴちぴちに包まれて陳列してある。
これが人ならストレス爆発、せめて仲良し同士なら味も落ちないだろうか。

このページのトップへ

夏じまい

【ペディキュアの更新はもうしないまま裸の爪で晩夏を歩く】

日中はまだまだ暑いから夏と変わらない格好ではあるけれど。
さすがにもうサンダルは季節外れ。
(ネット歌会 うたの日 歌題「自由詠」)

このページのトップへ

振り返ってばかりの

【置いてきた景色ばかりを眺めてるもういいじゃないこっちを見てよ】

時を経て美しくなってゆく過去。
それはもう宝箱にしまってちゃんと私の方を、見て。

IMG_7130.jpg 

(Instagramやってます→
https://www.instagram.com/shinka_mt/?hl=ja

このページのトップへ

いっそこのまま

【仰向けで流れる雲を追いかけるこのまま空に召されてもいい】

ひっくり返って大好きな季節の天を眺める。
色々がどうでも良くなり、ややもすれば退廃的な気分にさえ。 

IMG_7125.jpg 

(Instagramやってます→https://www.instagram.com/shinka_mt/?hl=ja

このページのトップへ

やっぱり食欲の

【面長の信楽焼きを取り出して待ち構えてるお初の秋刀魚】

準備は万端である。
あとはお値段が落ち着くのを待つばかりだが、今年はさて。 

このページのトップへ

サーブのあと

【壁打ちの方がまだましラリーなど成立しないコートでひとり】

次に返信が来たらこう言おう、そんな時はたいてい待ちぼうけのまま。
もう、どうでもいいや。

このページのトップへ

私だけかな

【あいびきと聞けばなんだかむず痒い牛と豚だとわかっていても】

同音異義語。
牛と豚の・・・いやいやいや。

このページのトップへ

ぐるぐる

【どうしても辿り着けない惑星の衛星のまた衛星でいる】

遠くから眺めるばかりの星。
憧れは抱いているけれど、近寄ることすら難しい。 

このページのトップへ

ほどほどにしておかないと

【掌(てのひら)の世界で霧に包まれて真実を見る眼鏡が曇る】

情報過多も考え物である。
自分なりの指標を持ち続けるのが大変な世の中になったと思う。 

このページのトップへ

感受性

【美しい世界なのだろうわたくしの耳目を経ない場合に限り】

感性のアンテナがひどく鈍る時がある。
そんなタイミングで下手に刺激に身をさらすとかなり落ち込む。

IMG_7112.jpg 

(Instagramやってます→
https://www.instagram.com/shinka_mt/?hl=ja

このページのトップへ

季節の描く模様

【段だらの早稲と中稲を撫でてゆき一枚にする蜩の風】

晩夏のこの時期、水田は黄と緑の縞模様になりつつある。
この季節だけの鮮やかな眺め。

 

このページのトップへ

視点の違い

【あの時は綺麗な空が見えたよね ごめん、キノコばっかり見てた】

同じ時間、同じ景色の中に居て見るものが違って。
君は空ばかり、私は足下ばかり。

このページのトップへ

徹夜組に捧ぐ

【今はもう夜を徹してポスターを描かなくていい大人っていい】

8月31日の夜は徹夜と決まっていたあの頃。
今夜ラストスパートの諸君、オトナになるのも悪くないものだよ。

このページのトップへ

曖昧な色

【信頼が凍り付いたら諦めに変わってゆくし夏も終わるね】

「信用しているから何も言わない」と「何か言っても仕方ない」の間。
そんな感じでグレーが増えていく。 

このページのトップへ

たったの数分

【始まりはきっと突然なんだろう対岸からの宣戦布告】

緊急速報で始まった一日。
つまり戦争ってそういうことなんだ、と。

このページのトップへ

一応オンナなので

【飾らない方がいいと言われても一応飾るマスカラだとか】

そういうことじゃない、嗜みというやつなんだ。
見栄、って言わないで。

このページのトップへ

やける

【こんなにも燃える想いがあったことたぶん貴方は知らないでしょう】

密かに燃やしていた自分をも燃え尽くしそうな火。
知ってか知らずか、あなたは。

IMG_7086.jpg 

(Instagramやってます→https://www.instagram.com/shinka_mt/?hl=ja

このページのトップへ

我慢の限界

【飽和して降る雨粒もこうだろう涙の表面張力の果て】

湿度の高いもったりとした空模様、降るなら降ればいいのに。
私なんてすぐ決壊してしまうよ。

このページのトップへ

第六十回 短歌研究新人賞 応募作品

第六十回 短歌研究新人賞において佳作をいただきました。
誌面には5首のみ掲載されていますが、ここに全編を公開します。

【体温計と折れ線グラフ】

駆け足のままで迎えた除夜の鐘 湯船で膝を抱えて聞いた

曇天の新年五日 囚人は解放されて廃人になる

まだ人に戻れず熱の塊を育んでいる一月七日

古ぼけた蛍光灯とリノリウム白い冷たい暗いやさしい

三時間やけに明るい待合で過ごした後のこれが絶望

歯ブラシとパジャマと熱を抱きかかえ丸くなるのが今できること

「ああこれは入院ですね」許されたような気がしてへなへな笑う

硬すぎるシーツが頬に冷たくて アイスクリーム I scream

子を孕む女(ひと)らの中で熱だけを孕んでいます場違いですね

静脈をひたひた冷やす雨が降る真夏の砂に沁み込んでゆく

割り箸で粥をすすっている顔はちょっと惨めでめっちゃ滑稽

生まれ来る赤子の鳴らす福音の喇叭が満ちる深夜の廊下

胎内で怒る卵はユナシンの雫でさえも滾らせてゆく

大きめの林檎ぐらいの頭にはヒトのすべてがもう詰まってる

黄昏に火照る体を横たえて茜の空に共鳴させる

持っているすべてを絞り出すような泣き声あれが生きてゆくこと

七日間雫に濡れたその果てに断罪される私の真子は

目覚めてもまだ夢のなか脊髄に注がれている恩寵の水

神様の水の補給は以上にて灼ける下腹の狂人となる

凍てついた蝋燭色の手を握る低体温の母があたたか

切り裂いた痛みが少し薄らいで胸に痛みが忍び寄る夜

天井を見詰める目から幾筋も塩っぱい道が伸びては乾く

永遠に手に入らない幸せが溢れる場所に居るんだ私

カーテンに遮音効果はないはずですすり泣く音きっとだだ漏れ

下腹からぼよんと提げたヨーヨーに溜まり続ける濁った心

ふくよかな女(ひと)らの列にぺしゃんこの私が混じる内診の朝

空っぽになった私にまっさらな命の声が満たされてゆく

フリースのパジャマの猫を供にして缶コーヒーで雪見の宴

これこそが社会復帰というやつだベッドサイドでディナーのカレー

紅梅の香り漂う家路にて足を取られる僅かな段差


長々と失礼しました。お読みいただき本当にありがとうございます。

連作。
大小合わせてまだ数編しか作ったことはありませんが、今までに作ったのはひっそり蔵に入ったままです。
今回、初めて全編を公開しようと思ったのは、たとえ全体の六分の一とはいえ誌面に載った5首を省いては自分の中でこの作品は成立せず、全編が既発表になったも同然だから。これ以上推敲する気はこれっぽちもないし、文芸作品として不完全であろうとそんなことは関係ありません。全力で作ったという事実だけが私にとっての真実。
ただこれは作品に自信がある、ということとは全く違います。むしろ自信なんて全然ありません(笑)たとえば焼き物を作ってみたらふにゃふにゃの形の湯呑みが焼き上がったけど、それを大事に大事に使いたい、という感じ。
そんな作品に、有難いことに昨年よりはひとつ上の評価をつけていただくことができました。この賞で佳作を取ることは目標の一つだったので嬉しかったです。正直、色々と運も良かったのだと思います(詳細は省きますが選考方法を考えるとそう思う)。

賞に応募する以上は頂点を目指すのが正しい姿勢なのかもしれません。ですが私はもう満足してしまったので、この賞への応募はこれで最後にすると思います。志の低い奴だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんがその通りです。
ただし短歌を本気で詠んでいるかいないかと言えば、常に本気です。そうは見えないかもしれませんが(笑)本気です。

このページのトップへ